第6話

――なんだこれ?!




 喉が焼けるように熱くなり全身の羽が総毛立ち、二倍くらい体が大きくなった。





「おっ、こりゃ本物の鳥肌だ」





 俺の姿を見て笑い転げる右京を怒鳴りつけたいが喉が痛くて嘴を開いたままその場に倒れた。



 右京は心配するわけでもなく足をバタバタさせてまた笑い転げる。




――こんなもん飲んでるから性格が悪いんだ!




 鳥肌が収まり体の大きさが元に戻る頃、起き上がることは出来なかったがなんとか声を出せる。





「うっ右京……ヒクッ!」



「なんだい。猿も木から落ちるなんていうけど、烏が落ちてくるなんてねぇ。そんなの死ぬ時ぐらいだよ。どっか悪いのかい?」





 転がった酒坏を拾い上げながら不吉なことをさらりと言ってくれる。



 ここ数日、体の様子がおかしいのは事実だ。ここは素直に右京に相談したほうがいいのかもしれない。





「きっ、気分が悪い……ヒック、体がヒック動かないヒッ」



「酔っ払ったのかい? 仕方のない奴だねえ」





 自分のことよりも、もっと別のことを右京に言わなくてはならないのに、頭がグルグル回っている。



 右京がそんな俺をからかう声が子守唄に聞こえてきて、なにも言えないまま瞼が閉じてしまった。

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