第2話
右京の力は天狗の山一番だと言っても過言ではないが、日がな一日、寝転んで酒を飲みながら読書をして怠惰な生活をしているのは烏達の間でも有名だ。
「本当に替わって欲しいよな!」
ガラガラと笑う烏達に文句を言ってやろうと嘴を開こうとするが、体がグラつきバランスを取るのに気を取られる。
このところ小陽の病を運んでいた時のように体が重くて思うように動かないことが多いのだ。
――今頃になって影響が出てきたわけじゃないよな?
笑い声のなか首を傾げた瞬間、足元から力が抜けて大きく体が傾き留まっていた枝から落ちそうになるが腐っても烏。焦らずとも羽を広げて飛べばいいと思っても、体が言うことを聞かない。
――このままじゃ
先ほどまで留まっていた枝に烏達が落ちていく俺をふざけているのだと思って、やじを飛ばしている姿を見て、助けを期待するのは無理だと地面に叩きつけられる衝撃に耐える準備をしようと、なんとか動いたまぶたを強く閉じる。
「こりゃ、面白い拾いもんだ……」
諦めた瞬間に横から強い風と知らぬ声が聞こえ、耐える準備していた衝撃は訪れなかったが依然として体は動かず助けてくれた相手が誰なのかもわからない。
誰かが体を受け止めたことだけは分かり、重い瞼をなんとかもう一度開いて声の主を見上げた。
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