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第21話
「そっか……わかった。そう言うことか」
狂ったように笑う璃子に俺は意味がわかず戸惑っていると、優司が不機嫌そうに側に落ちているシャベルを拾おうと動く。
その動作に璃子の笑いが止まり、また優司にナイフを向ける。
「動かないで!」
優司がシャベルに触れる寸前で止まり、かがんだ体を元にもどす。
「幸平君とうまくいったんだ? だから邪魔な私を殺して、二人で埋めようってこと?!」
俺には言っている意味がさっぱり分からず戸惑うばかりだったが、優司は歯を食いしばり無言で璃子を睨みつけていた。
戸惑っている俺に璃子が気づいてまた狂ったように笑う。
「なんだ、幸平君は知らないんだ?優司は本命には随分と奥手だね」
――本命?
まるで恋愛ごとを話しているように聞こえる。目を見開いて話す璃子の頬には涙が流れていた。
顔に付いた血が混じり、血の涙を流しているようだ。
「気安く呼ぶなって言っただろ……」
「可愛そうね……優司がどんなに幸平君を好きでも、幸平君は優司より女の私を選ぶと思うわ!」
小馬鹿にするように笑う璃子の声を聞きながら、はじめて知った優司の気持ちに驚いて固まる。
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