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第18話
俺はもう一度、拳を固く握りしめ冗談を返すように軽く話す。とてもじゃないが、問い詰めて聞ける雰囲気ではない。
「俺が良いなと思えばお前の彼女になってるし、俺が好きになる暇なんてないじゃないか……」
「良かった! それじゃ、早くあれ埋めちゃおう」
嫉妬の炎は消え、嬉嬉とした表情で側にあったスーツケースを引き寄せる。
鍵を回して躊躇いなくスーツケースを開けた。
反射的に瞑った目を恐る恐る開いてみると、やっぱりスーツケースには膝を抱えて横たわる璃子の姿があった。
「なんだか、まだ生きてるみたいだな……」
ぼそりと俺がつぶやくと気のせいか、璃子の体が動いた気がした。
優司は「まさかぁ」と璃子をスーツケースから乱暴に出して地面に転がす。
穴に運ぼうと抱き上げようとした瞬間――
璃子が顔を上げた。頭から流れた血が顔につき、虚ろな目でゆっくりと周囲を見渡している。
その様子に俺は言葉を失いその場に立ち尽くす。
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