第3話

玄関の鍵を開けると、勢いよく優司が飛び込んできた。





「た、助けて欲しい……どうしよう……」





 顔面蒼白でただ事ではないのは察しがついた。だが、面倒に巻き込まれ勉強出来なくなるのは困る。



 俺は溜息をついて、まったく聞きたくない優司の話を聞いた。





「何? 俺は、優司と違って頭悪いから勉強しなきゃならないんだけど」





 嫌味を言ってみるが、優司は震える手を伸ばし俺の腕を掴む。



 振り払おうとするが、爪が腕に食い込むほどの強い力で掴んでいる。





「ぼ、僕の家に来てよ……」



「だから……」



「いいから!!」





 声を荒げ切羽詰った優司の様子に俺はびくりと肩を震わせ、そのまま腕を掴まれ引きずられるように優司の家に向かった。

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