第13話

「お疲れさん。お前らのチームだったか俺のスペシャルゴーレム倒したの。あれはここから最短の位置だから回避させるように作ったのに……まさか倒してくるとは驚きだ」


 クラスで一番最初にゴールしたマティ達は回収したクリスタルを教師に渡すと、成長したと褒めつつ、肩を落とす教師の様子に笑い合った。だが、マティとウォルターには加点がついたのだが、気絶したグロムだけは減点こそなかったが加点はなし。


「なんで私だけ加点なしなの? 頑張ったのに……しかも、やっぱりあのゴーレム少し強いとかじゃなかったじゃん! スペシャルって言ってたし!」


 マティは意識の戻ったグロムと更衣室に移動して、留め金が緩くなっているお気に入りのバレッタを止め直して愚痴を聞いていた。


「だってさ、せっかく凄い奴倒して一番最初にクリアしたのに! 二人も私のこと起こしてからゴールしてくれればよかったじゃん!」


「まぁまぁ……これ、ナッツの蜂蜜炒め上げるから落ち着いて」


 宥めるように相槌をうっていたが永遠に止まりそうもない様子だったので、隠密カメレオンに一粒上げるのに開けたナッツの蜂蜜炒めをグロムい差し出す。


「えっ、食べていいの? 全部?」


「食べかけでいいならどうぞ。加点なかったのは残念だってけど、私もウォルターもグロムには凄く感謝してるよ。あの一撃が無かったら、きっとあんなに早くクリアできなかったもん。ありがとう」


 すでにナッツの蜂蜜炒めに心を奪われたグロムの機嫌はコロッと良くなり、付け加えた感謝の言葉が耳に届いたかは定かではない。


「それと、悪いんだけどこのナッツの蜂蜜炒めを渡しといてもらっていい? ちょっと急ぎの用事があるから先に出たいんだ」


「いいよ。えっ、もう一袋買えたの!? 今日はマティ、めちゃめちゃ運が良くない?」


 実際は3袋買えたので見せてないだけで、もう一袋持っている。確かに今日はグロムが言うように、頼まれごとを除けば久々にカリオに会い、授業では自分の思い描いていた攻撃が出来た上に加点を付けられた。大人気のナッツの蜂蜜炒めも買え、それを餌にきっとリック・バーレスクから情報を得てアッと言う間に解決できると思えるほどに今日のマティは運に恵まれていたのだ。

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