第9話
「誰からの手紙?」
連絡手段に個人でそれぞれ機械や生き物を所持している。マティも入学当初にふわふわの綿毛のような尻尾を持つタンポポリスを使い魔と考えていたが、早々にカリオからプレゼントだと隠密カメレオンを贈られた。
ギョロギョロした目玉に、長い舌でビタビタと人の皮膚を舐める隠密カメレオンの気持ち悪さにカリオに返そうとしたが「こいつは小さなライオンって言われていてマティと一緒で可愛いだろう?」などと言われて返すに返せなくなり、マティの使い魔として現在に至る。
舐められた手の甲をナプキンで拭いていると、隠密カメレオンは筒状の手紙をクルクルと巻かれた尻尾から取り、マティの手元に転がす。
「ありがとう」
御礼を言って手紙を受け取るが、隠密カメレオンは目をクルクルと回しながらマティの手に長い舌を伸ばして何かを催促するように舐める。マティは口の端を引きつらせながらナッツの蜂蜜炒めの一袋を開けて一粒手に取ると隠密カメレオンの舌が素早く絡めとっていく。
「誰からの手紙……カリオ先輩からだ。えっと、マティの靴のサイズを教えて欲しい?なんで?」
情報の追加でもあるのかと思ったが、意味不明な質問に首を傾げながらポケットからメモ用紙を取り出して靴のサイズを書いて筒状に丸め、隠密カメレオンのクルクルとした尻尾に挟み込む。
「カリオ先輩のとこにお願いね」
隠密カメレオンは目をクルクル回すとスッと擬態してその場から姿を消した。現れるたびに驚き妙な緊張をしてしまう自身の使い魔に溜息を吐き、残りのランチをゆっくりと楽しんだ。
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