≪あらすじ≫
頼られたら断れない性格の主婦・城谷香織(34)は、不慮の事故で死んでしまう。しかし、彼女は剣と魔法が存在する世界へ転生。子爵令嬢(ナディア・アルトラン)として第2の人生を送ることになる。ナディア(17)は、成績優秀で運動神経抜群。魔法の腕も超一流。そして、イケメン皇子が求婚を迫るほどの美貌の持ち主だった。しかし、氷のように冷たい性格から〈氷の女帝〉として教師や生徒たちから恐れられていた。だが、香織にとって『少女の性格』や『何故、死んだはずの自分が17歳の少女になっているのか』と言う問題は『もう一度、人生をやり直せる』喜びに比べたら些細な問題だった。
そこへ、一人の女子生徒が香織に助けを求めやって来る。
香織は、魔法が生まれつき扱えない特異体質の少年(クルト・ヴァージュ)を虐めから救って欲しいという女子生徒の頼みを引き受け虐めの現場へ。虐めているのは身分の高い貴族の御曹司たち。仕返しが恐くて、誰も彼を助けない。その様子に香織は自分の学生時代の姿を重ね、苛立ちを募らせていく。感情の高ぶりで魔法が暴走。結果的にクルトを助ける事になる。その一件以来、「生徒会長、実は優しいのでは」と言う噂が広がる。しかし、クルトに対する虐めはなくならない。生徒会長に好意を抱く者たちが、クルトに嫉妬。クルトに対する虐めは酷くなる。そして、クルトに無実の罪を被せ学園から追放してしまう。
香織は自分を責め、クルトを学園から追い出した者たちに鉄槌を下す。
それから半年後。異世界での暮らしにようやく慣れ始めていた香織に新たな試練が襲う。それは、〈社交界デビュー〉。しかし、そこで香織は無礼な御曹司の頬をビンタしてしまう。殴った相手は香織よりも身分の高い貴族だった事から一触即発。だが、ミスレア王国国王フィゼル・イングルベルの子である王位継承権第三位のリーシュ・イングルベル(イケメン皇子)が場を納め、事なきを得る。この一件で、香織は「気の強い女」と言うレッテルを貼られてしまう。
気がつけば、香織はクルトが働いている大衆食堂にいた。メイドのサラサから、「クルトのことが好きなのか」と問われ香織は困惑する。クルトに抱いている感情が〈哀れみ〉なのか。〈母性本能〉なのか。それとも、〈恋〉なのか。
酒に酔ったお客の一人が手際の悪いクルトに暴言を吐く。クルトはパニックを起こしてしまい、調理で使う食材をダメにしてしまう。クルトを助けるために香織が立ち上がる。主婦の本領発揮。残った食材で次々に料理を作っていく。その手際と料理の美味しさは料理人も舌を巻くほど。暴徒と化していたお客も、香織の気迫と料理の腕に感服。香織はクルトに感謝される。クルトの温厚な人柄に触れ、香織はクルトに心惹かれていく。だが、クルトには彼女がいた。浮かれていた香織は地面に叩きつけられてしまう。
ある日。香織は、怪物退治で訪れた村で仲の悪い老婆と老爺に出会う。その二人の正体は某国の姫と騎士だった。元々は、恋人同士。身分のせいで結ばれることは出来ず、二人は国を捨て逃げてきたと言う。身分違いの恋。香織は、興味本位で話を聞く。だが、二人ともお互いに若い頃の自分たちの未熟な行動を後悔していた。
燃え上がっていた恋も邪魔者がいなくなった途端に冷めたのだと老婆は言う。そして、二人だけの生活が始まりお互いにお互いの事を何も知らなかったことに気づく。もっと、時間をかけてお互いの事を知っていればこんな事にはならなかった。もっと、根気強く仲間たちや姫の両親を説得していれば。老爺は、姫である老婆を幸せに出来なかった自分の愚かさを嘆き、怪物から姫を守り死んでしまう。
〈時間をかけてコツコツ努力を積み重ねた者にしか、望む結果を掴むことは出来ない〉と言った老爺の言葉を胸に、香織はじっくり腰を据えて目の前の問題に取り組むことを誓う。最終目標を〈クルトとの結婚〉と設定。ゴールに向って、自分はどんな課題をクリアしていけばいいのか。計画を企てていく。
だが、香織はそんなことをしている暇はなかった。香織が転生した世界には、希望する就職先が提示した課題をクリアしなければ就職できないと言うシステムが存在した。香織が選んだ就職先は、騎士団。入団をするには、ドラゴンを討伐しなければいけない。しかし、ドラゴンは滅多に人前に現われない希少種。
就職をしなくても、子爵令嬢である香織には良い縁談の話が沢山あり、働かなくても何不自由ない暮らしが約束されていた。しかし、香織は自立した女性を目指して働くことを選んだのであった。
ある日。手負いのドラゴンがいると言う噂を耳にする。しかし、手負いのドラゴンを前に、香織は悩む。自分の都合で他者を傷つけていいわけがない。これじゃ、自分を物のように扱ってきた男たちと同じじゃないか。香織はドラゴンを助けるために、サラサと共にドラゴン討伐にやって来た者たちを相手に戦いを挑む。
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