講習開始
「今日の依頼はフィールドワーム討伐だね。簡単な依頼だけど、油断しないで進めよう。」
リーナは軽く笑いながらも真剣な声で言った。
コウタとエレナは彼女の言葉に耳を傾けていた。
東部の小さな森と平原へ向かう途中、コウタはふと考え込んだ。
「ねぇ、リーナ、フィールドワームって地中に隠れてるんだよね?」
リーナは頷き、
「そう。地中に潜んでいて、振動を感知して攻撃してくることが多いから、探すのに時間がかかるのよ。地面をよく観察して、少しでも動きがあれば反応すること。」
「でもさ、それだと時間がかかるよね。もっと効率的に見つける方法ってないのかな?」
コウタが提案しながら続ける。
「例えば…ソナーみたいな仕組みで魔物を見つけられないかな?」
と、コウタは思いついたように話を進めた。
「ソナー?それって何?」
リーナが首をかしげる。
エレナも同じように、コウタの言葉に疑問を持った様子だった。
「うん、ソナーっていうのは、俺たちの世界で使われてる技術の一つなんだけど…簡単に言うと、音を出してその反響で周囲の物を感知する仕組みなんだ。音が壁や物体に当たって跳ね返るのを感知して、その物の位置を特定するんだよ。」
コウタは少し説明しながら、手で動きをつけてイメージを伝えようとした。
「なるほど。じゃあ、それを魔力で応用できるかもってこと?」
エレナが興味深そうに言った。
「そうそう、魔力を使って周囲に広がる波のようなものを感じ取れれば、地面の下に潜んでる魔物の動きを感知できるかもしれない。地中の魔物が動いたら、その波が戻ってくる…そんなイメージなんだけど、試してみる価値はあるかもね。」
リーナは考え込むようにしばらく黙っていたが、やがて興奮した様子で答えた。
「面白い発想だね。私たちの世界にはそんな技術はないけど、魔力を使ってそれを実現できるならすごいことだよ!やってみよう!」
「じゃあ、試してみようか。もし成功すれば、もっと簡単にフィールドワームを探し出せるかもしれないし。」
コウタは自信に満ちた声で言い、エレナと共にそのアイデアを実践してみることにした。
コウタとエレナは地面に向けて魔力を集中し、魔力を波のように地面に送り出した。しばらくして、微かな反響が彼らに返ってきた。
「感じた!地中に何かいる!」
コウタが興奮気味に声を上げた。
リーナは驚きながらも嬉しそうに笑った。
「本当に成功したの?そんなこと、普通はできないわよ!本当に初心者なの?」
「どうやらね。でも、この方法でいけそうだよ。魔力の反響で、フィールドワームがどこにいるのか分かる。」
コウタが自信たっぷりに答えると、エレナも笑顔で頷いた。
「やっぱり、君たちってただの初心者じゃないわね…」
リーナは驚きながらも感心していた。
しばらく進んでいくと、コウタが感知した場所からフィールドワームが地表に姿を現した。
巨大な虫のような姿で、鋭い牙を持ったフィールドワームが地面から飛び出してきた。
「きたな…!」
コウタは剣を構え、エレナは魔法の準備を始めた。
リーナは二人の動きを見守りながらサポートの準備をする。
エレナが手をかざすと、強力な魔法が地面に放たれ、フィールドワームを一撃で倒した。
リーナは驚いた表情を浮かべ、目を大きく見開いた。
「え…これって本当に初心者向けの依頼なのよね?」
リーナは呆然としながらも半ば冗談めかして言った。
「エレナの魔法、威力が凄まじすぎるわ…普通の初心者はこんなに簡単に倒せないよ!」
「まぁ、私も修行はしてるからね…」
エレナは少し照れくさそうに答えた。
それでもフィールドワームはまだ完全に倒れておらず、再び牙を剥いて襲いかかろうとした。
しかし、今度はコウタが素早く剣を振り下ろし、フィールドワームの牙を切り落とした。
「俺も負けてられないな!」
コウタは力強く言いながら、フィールドワームを完全に討伐した。
「…本当に君たち、初心者なの?」
リーナは再び呆れたような顔をしつつ、二人の実力に感心していた。
「経験はないけど、鍛えられる環境にはいたからね。」
コウタは笑いながら答えた。
「リーナのおかげで討伐の流れは掴めたよ。本当にありがとう。」
エレナも真剣な表情でリーナに感謝を伝えた。
「いいんだよ!こうやって一緒に冒険できるのは楽しいし、君たちが強いならなおさら面白いね。」
リーナはそう言って笑った。
その後も順調に討伐を続け、3匹のフィールドワームを無事に討伐することができた。
最後のフィールドワームを討伐し、コウタがその牙を拾い上げた。
「これで依頼は完了だな。さあ、ギルドに戻ろう。」
コウタは笑顔で言った。
「うん、報酬も楽しみだし、今日はたくさん動いたからしっかり休もう。」
エレナも同意して笑顔を見せた。
リーナは二人を見て、
「次はもっと難しい依頼にも挑戦してみようよ。君たちならきっとどんな魔物でも倒せるわ!」
と冗談交じりに言いながらも、内心では二人の実力に驚きを隠せないでいた。
「次はどんな冒険になるか楽しみだね。でも、まずは今日の依頼を終えてしっかり休もう。」
リーナの言葉に三人は笑顔で頷き、ギルドへの帰路についた。
その日の報酬を手に入れた三人は、充実感に包まれていた。
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