討伐依頼
コウタとエレナは、ギルドの掲示板の前に立ち、今日の討伐依頼をじっくりと見つめていた。
二人はこれまでにイエロースライムを何度も討伐してきたが、それはギルドの依頼ではないため、報酬もなく、ただ身体能力を向上させるための手段に過ぎなかった。今後の生活費を稼ぐためにも、正式な討伐依頼に挑むことが必要だった。
「今日はしっかりと依頼を受けよう。報酬も欲しいし、冒険者としての経験も積まなきゃ。」
コウタは決意を込めた声で言った。
エレナも同意しながら、掲示板を見上げた。
「そうね。でも、魔法の森の依頼は避けましょう。あの悪漢三人組が徘徊しているって噂があるし、わざわざ危険な場所に行くことはないわ。」
「そうだね、魔法の森は避けよう。まだ僕たちには無理だし、安全なところで経験を積もう。」
コウタも頷き、エレナとともに初心者向けの討伐依頼に目を向けた。
最初に目に留まったのは「カルシウムシェル討伐」の依頼だった。
「カルシウムシェルか…これは川辺に生息する貝の魔物で、食用としても人気があるんだよね。報酬は銀貨1枚だし、討伐証明としては貝殻を持ち帰るんじゃなく、そのまま持ち帰ってギルドで売るっていう流れか。」
コウタは依頼書を読み上げた。
「それなら簡単そうね。カルシウムシェルは動きが遅いし、攻撃力もほとんどないって聞いたことがあるわ。」
エレナは依頼の内容を確認しながら言った。
「ただ、報酬は低いし、あまり挑戦しがいがないかもな…。」
コウタはもう少し難しい依頼を探し始めた。
次に目に入ったのは「ホーンラビット討伐」の依頼だった。
「ホーンラビット討伐、報酬は銀貨1枚半か。討伐証明としてはそのまま食料になるから、持ち帰るのは丸ごとだね。ホーンラビットは速いけど、そんなに強くないみたいだし、ちょっとした挑戦になるかな?」
コウタは興味を示した。
「ホーンラビットは逃げ足が速いって聞いたことがあるわ。でも、追いかけるのが大変かもしれないけど、報酬も少し高いし、試してみる価値はありそうね。」
エレナも同意した。
さらに別の依頼も見つけた。
「ゴブリン討伐」の依頼だ。
「ゴブリン討伐、報酬は銀貨2枚。討伐証明は耳を持ち帰ること。ゴブリンは害獣扱いだから、耳だけ持って帰ればいいんだね。ただ、ゴブリンは群れで行動することが多いから、集団に囲まれると危険かもしれない。」
コウタは少し不安そうに言った。
「うーん、私たちはまだ集団戦の経験が少ないから、ゴブリン討伐は避けた方が良いかもね。」
エレナは慎重に判断した。
「そうだね。ゴブリンはもう少し経験を積んでから挑戦しよう。それに今日は安全にできる依頼を選ぼう。」
コウタも同意して、再び目を掲示板に向けた。
結局、二人は「ホーンラビット討伐」の依頼を選ぶことにした。
適度に挑戦しがいがあり、報酬も良い。
そして何より、魔法の森ではない安全なエリアでの依頼だった。
「ホーンラビット討伐に決めたよ。少し難しそうだけど、報酬も良いし挑戦してみようか?」
コウタが提案した。
「そうね、私たちの力なら何とかなるわ。まずはこの依頼をこなしてみましょう。」
エレナが頷く。
こうして二人は「ホーンラビット討伐」の依頼書を手に取り、ギルドの受付へと向かった。
「これが私たちの最初の正式な討伐依頼。慎重に行動しよう。」
コウタはエレナに言い聞かせるように言った。
「うん、気を引き締めていきましょう。」
エレナは決意を新たにし、依頼の準備を進めるために動き出した。
討伐依頼を正式に受け、コウタとエレナは冒険者としての新たな一歩を踏み出すこととなった。
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