第78話

――にゃーごぉ




「猫か……」



「あっ! カツラさん!」





 茂みから出てきた大きな白猫。だが、ただの猫じゃない。 私はまた別の茂みに入って行く白猫を追いかけた。





「ど、どうしたんですか?」





 急に公園の茂みに走りだした私の背に驚いたようなレイトさんの声が聞こえたが、白猫を見失わないように私は必死だった。



 揺れている茂みを確認して白猫が茂みから出てくる場所を予測する。





「やっぱりいつもの場所だ……」





 薄暗いがいつもの私の指定席に先回りすると、茂みから白猫が出てきた。





「にゃーごぉ」



「こんばんは。カツラさん」





 声をかけると白猫は足に擦り寄ってくる。私はしゃがんで頭を撫でていると、後ろからレイトさんの慌てた声が聞こえる。





「一人で行ったら危ないですよ! これは……幻想的ですね」





 私は腰を上げてレイトさんの視線の先を見るとそこには、月明かりに池の水面が反射してキラキラと輝く景色に感嘆の声がもれる。



 公園の入口で感じた不気味さなどとっくに忘れてしまっていた。

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