公園
第77話
喫茶店を出て私とレイトさんは暗くなった道を並んで歩く。
心なしかレイトさんは周囲を警戒しているようで、口数も少ない。
「本当にすみません」
「気にしないで下さい。嫌がらせをする人物が見当もつかないとなると不安でしょう。僕に出来ることはなんでも言ってください」
眉尻を下げて心配してくれるレイトさんに私は正直、なんと答えていいか困っていた。
こんなに気になるなら、いっそのことレイトさんが犯人ですか? と聞いてしまおうかと思うが、答えは分かっている。
――答えは絶対に「いいえ」だろう。
レイトさんが万が一にも犯人だとして、正直に正体を明かす訳が無いからだ。気まずくなるだけ。
――やめとこう。
「公園に着きましたよ?」
上の空で通り過ぎようとする私にレイトさんが公園の入口に立って呼び止めた。
「あっ、ごめんなさい!」
私は慌ててレイトさんの立つ隣に戻った。いつもの公園は入口から見ても暗くて不気味だ。
いつも私がスケッチしている池の側にある茂みも薄暗い街灯でぼんやりと見える雰囲気はお化けでも出てきそう。
「夜の公園は不気味ですね」
レイトさんも私と同じ様に感じたらしく、苦笑いをしながら公園を眺めていた。
今日は猫には悪いがこのまま家に帰って、明日の朝にしようかと迷っていると公園奥の茂みが揺れた。
リュックの肩ベルトをギュッと握り、揺れる茂みを凝視する。隣に立つレイトさんも一歩私の前にでて警戒する素振をみせた。
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