第69話

重厚な両開きの扉が開けられると、正装した沢山の人がグラスや皿を持ってパーティーを楽しんでいた。





「こちらです」





 その光景に唖然としてる僕にスーツの男が促す。



 どんな人だろうかとドキドキしていると、恰幅のいい老人の前でスーツの男が止まる。





「旦那様。RAIN様をお連れしました」



「君がRAIN君か! 初めまして私はファルツ。今日はパーティーに来てくれてありがとう」





 とても感じの良い人でホッとした。年齢は僕の祖父とそんなに変わらなそうだ。





「初めましてファルツさん。アメミヤ レイトです。絵を買って下さってありがとうございました」



「アメ……RAINではないのかい?」



「RAINは僕の性と名を合わせたサインなんです」





 アメミヤの雨とレイトの発音が似ているのでRAIN。

 ファルツさんは大きく頷いて笑顔を見せる。



 この様子から僕の絵を返品したいとは言われなそうだが、無名の絵描きをこんなパーティーに招待するのは訳がありそうだ。




 ただ、お礼が言いたかっただけとは考え難い。

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