第66話

結局、祖父とギャラリーのオーナーに強く勧められパーティーに行くことになった。





「よく似合ってるよレイト」



「七五三みたいじゃない? スーツなんて着慣れなくて変な感じ」





 僕は祖父に見立ててもらったスーツに身を包んで鏡を見る。

 


 少しだけ、大人っぽく見えたが不安な表情だけは隠せていなかった。





「レイト」





 僕の背中に手を添えて優しく微笑む祖父の顔が鏡に写る。





「そんな顔してると男前が台無しだよ。上手くやろうなんて考えなくていいんだよ。お前の絵を見て興味を持ってくれた人に真心をもって話せばいいだけだ。自信を持って行ってきなさい」



「ありがとう。それじゃ行ってくるね」





 ギャラリーのオーナーも招待されていたので、一緒に車でパーティーに行くことになっている。



 既に家の前に車が来ていてオーナーは車で待っていた。僕は祖父に手を振って家を出ると、待っていた車に乗り込んだ。

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