第53話
あらかた話終わると、ナオヤは腕を組んで考えていた。
「どう考えても人間の仕業だろ? 怪しいのはアメミヤレイト。ダ・ヴィンチの愛人が犯人だろ」
「なんでよ! レイトさんはずっと紳士だったし、そんなことする理由がないよ」
私はとんでもないことを言いだしたナオヤに食ってかかる。
「あら? 今日は随分と早いわね。そんなに怒鳴ってどうしたの?」
アトリエのドアが開いてレイコが入ってきた。珍しくコンタクトではなく眼鏡をかけていた。
「おはよう。どうせナオヤが馬鹿なことでもいったんでしょ?」
ナオヤのことを睨みながら、レイコは小脇に抱えていたノートパソコンをテーブルに置いて電源を入れた。
「あれから大丈夫だった? 眠れなかったんじゃない?」
「うん。あらからは何も起きなかったよ」
すっきりしない気分でレイコに苦笑いを返した。
「パソコンなんか持ってきてどうしたんだよ?」
「見せたいものがあるから持ってきたのよ」
なんだか分からないが、レイコがキーボードを打つと画面に地図が出てきた。
私とナオヤは画面を覗き込む。地図にはドクロや炎などのマークが付いていた。
「なんだこれ? これは地図記号じゃないよな」
私もナオヤの言葉に頷いて首を傾げる。少し物騒な雰囲気がするマークだよね。
レイコは眼鏡を右手で上げると私に微笑みかける。
「これは、事故物件なんかを調べられるマップなの。ほら見て、またたび荘には何もマークがないでしょ」
地図をクローズアップして、レイコが画面を指差した。
確かに、またたび荘の周辺も綺麗なものだった。
「だからなんだよ? なんの答えも出てないし、これってクチコミ情報じゃないのか?」
ナオヤが呆れたように話す。確かに、マークがなかったことは良かったけど、原因についてはやっぱり分からない。
「私だって幽霊だのそんなオカルトじみたものまったく信じてないわ。簡単に原因が分からないからこそ、出来るとこから、不安を取り除いていくしかないでしょ」
「それなら、一番初めにダ・ヴィンチの愛人から調べたほうがいいと思うけどな」
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