疑念

第51話

布団を頭から被り、丸まったまま朝を向かえた。



 目覚ましが鳴り出すにはまだ早いが、外が明るくなるのと共にやっと安心感もやってきた。



 あれから、携帯電話でレイコに目玉のお化けのことを話すと、今からアパートに行くと言ってくれた。



 流石に時間も遅いと断ったけど、携帯を切った後はやけに神経過敏になっていて眠れなかった。



 ちょっとした物音に、また得体の知れない何かが来たのではないかと、玄関を確認せずにはいられなかったから。




「眠い。もう朝だから大丈夫だよね?」




 夜は怖くてお風呂にも入れなかった。シャワーを浴びて早くアトリエに行こう。



 熱いシャワーを浴びながら、目玉のお化けを忘れるために、今日の予定を考えた。



 今日はレイトさんに連絡して、今日は何着て行こうかな?



 シャワーを浴び終わると、眠気を少しは取れてすっきりをした。



 下着姿で紙袋に入れたままになっているレイコから貰った服を一枚取り出す。



 水色のワンピース。着てみると少し丈が長い気がするけどいいか。



 鏡の前でクルットまわって姿を確認して、帽子を被りリュックを背負う。スケッチブックを持って玄関に向かう。




「大丈夫、大丈夫」




 念仏のように自分に言い聞かせ、サンダルを履いて一気にドアを開けた。




 ゴッ!!




 ドアに何かがぶつかる音がした。ドアの影からそっと覗く。





「なにこれ?石?」





 漬物でも漬けられそうな、結構な大きさの石が転がっていた。



 外に出て近くで確認すると、ドアに凹んだ痕があった。

 このまま通路に石を転がしておくのも、迷惑なので移動させる。





「おっ重い……」





 両手で持ちコンクリートの通路から雑草の生えた土の上に移動させた。




 こんな重い石がドアにぶつかった?




 首をかしげながらドアに鍵を掛けて早足でアトリエに向かった。

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