第47話

使っていた椅子をカウンターに戻すと、荷物の置いてあるソファー席に戻った。



 そこにはリュックの他にレイコから貰った大量の服が詰まった紙袋。



 忘れていたわけじゃないけれど、かなり重いんだよね。



 私はリュックに帽子を括り付けて背負い、背中とリュックの間にはスケッチブックを挟んだ。



 両手でしっかりと持たないと帰り道が辛そうだ。

 私は覚悟を決めて紙袋を抱えるように持ち上げた。





「随分と重そうですね」



「ひゃっ!」





 知らぬ間に後ろに立っていたレイトさんの声に驚いて、抱えた紙袋を落としてしまった。





「大丈夫ですか? 僕が持っていきますから、貸してください」



「持って帰れます。重いですから」





 紙袋を背中に隠すようにして申し出を断るが、レイトさんは肩をすくめると私の横から紙袋を取り上げた。





「送ります。さっ、行きましょう」





 紙袋を肩に掛けると、有無もいわさず私の背中を押して喫茶店の外に出されてた。



 レイトさんは何食わぬ顔で喫茶店のドアに鍵を掛けると、すたすたと歩いて行く。



 私は呆気にとられながら、レイトさんの背中を追いかけた。

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