第33話
そんなに心配しないでも、レイトさん変な人じゃないと思うけどな。私に危機感が足りないだけなのかな?
「駄目だわ。思い出せない!」
レイコはお手上げのジェスチャーをすると、一人頷いて私に言った。
「三人で喫茶店ダ・ヴィンチに行きましょう。アメミヤ レイト本人を見れば思い出すかもしれないし」
「だから最初に俺が言ったじゃねえか! どんな奴か知るには直接会うのが一番だ」
止めても無駄かな。二人の行動が読めないから一緒に喫茶店に行くのは怖い。
レイトさんに何を言うかわからないし。
駄目もとで断ってみようかな。
「あのさ、連絡先もらった翌日に直接会いに行くっておかしくないかな……それに二人共、作品仕上げるのに忙しいでしょ」
「何言ってるのよ! こんな時に絵なんて描いてる場合じゃないわ! それに、連絡先を教えるほどには気に入った相手が直接会いに来て嫌なはずないじゃない!」
やっぱり無理か。
ナオヤも「諦めろ」と私の頭に手を乗せた。
心配してもらって嬉しいけど複雑だよ。
「そんなに嫌な顔しないでよ。心配なんだから仕方ないじゃない」
顔に出ていたらしくレイコが眉を八の字にして首を傾げた。
ナオヤもそうだと私の頭を乱暴に撫でた。
「やめてよ! 髪グシャグシャになっちゃう」
私はナオヤの手を振り払い髪を手でなでつける。
もとからセットはしていなかったが、せめてレイトさんに会いに行くのが決定なら身綺麗にはしときたい。
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