第32話
喜んでくれたレイコは眉間に皺を寄せ、ナオヤは溜め息をついた。
レイトさんと仲良くなれたし良かったと思うんだけど……
二人は浮かない顔。
「お前の歳、言ったのか?」
「ううん。言ってないよ」
年齢がなにか関係あるのだろうか? 私は首を傾げる。
「変な趣味があるか、噂はまるっきりの嘘で女ったらしか」
「女ったらしではなさそうだけど……変な趣味ってなに?」
ナオヤの言おうとしていることが分からない。
趣味って猫が好きそうで、クッキー焼いてるぐらいしか頭に浮かばない。
「馬鹿だな。今まで何人も女が言い寄ってオチない男が、なんでお前に連絡先を教えるんだよ? ロリコンとか偏った女の趣味があるんじゃないのか? もしくは、女ってことに気がついてないとか」
ナオヤ言い過ぎ。
ムッとしてもナオヤとレイコが説教を始めた時は静かに聞いてるのが一番。
何か反論すれば倍ではすまない説教が続く。
「それに、モデルするのすんなり引き受けるとか怪しいな。スケッチする時は二人きりだろ?大丈夫かよ。お前は危機感に欠けてる! まだ知りもしない男に住んでる場所まで送ってもらうとかありえない」
危機感に欠けているのは確かにそうかも。二人共喜んでくれると思ったのに、怒られる羽目になるとは。
大丈夫かと言われても確かなものがないので何も言い返せない。
いつもならこの辺でレイコが助けてくれるはずなのに、さっきからブツブツと一人で考え込んでいる。
「レイコ? どうしたの?」
私に呼ばれてはっとしたようにこちらを向いた。
「ごめんなさい。なんか、アメミヤ レイトってどっかで聞いたことがある気がするのよ」
「噂で有名人だからじゃないの?」
「違う。ダ・ヴィンチの愛人ってだけで本名なんて聞いたこともなかったわ。噂してる人達も本名、知らないんじゃないかしら?」
レイコは自分の額を指で叩きながら必死に思い出そうとしていた。
「犯罪者とかそういうオチじゃないだろうな」
ナオヤも頭を掻きながら難しい顔をしているレイコに苦笑いを見せる。
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