第8話

同じ人間なのに、こうも違うなんて残酷だな。




 もう一度鏡に目をやると、ショートパンツのポケットから白い紙が覗いていた。ポケットから取り出す。





「ははっ、ポケットからお菓子。子供すぎる」





 紙ナプキンを広げると黒猫と白猫が仲良く並んでいる。



 バターとチョコのクッキー。

 喫茶店で食べた猫クッキーはマーブルだった。





「このくらいマスターさんと私は違うよね」





 上品で気品あふれる白い猫とその辺にいる黒い野良猫。

 こんなこと考えたってしょうがないのに。



 黒い猫クッキーを口の中に入れる。チョコ味、美味しい。

白い猫もきっと美味しい。



 喫茶店に入るまでは、作品のことしか頭になかったのに今はマスターさんばっかりだ。




――変なの




 胸もなんだか苦しいし。もしかして、成長してるとか?



 くだらないことを考えてると、洗濯が終を知らせる音楽が流れてきた。



 私は猫型クッキーを上に投げて口でキャッチすると立ち上がり洗濯機に向かう。




 やっぱり白い猫も美味しい。

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