第7話
独り言をいいながら冷蔵庫から飲み物を取り、スケッチブックを扇風機の前で開く。
風でパラパラとめくれるスケッチブックにはたくさんのデッサンが描いてある。
こんなスランプは初めてかもしれない。
いつもは、こんなに悩むこともなく手が動いてくれる。
コンクールも別に今回が初めてではないし、それなりに賞を貰ったりもしている。
今回に限ってプレッシャー?
「なんでかな~何も浮かばない。なに描こう」
リュックからペンケースを出して鉛筆を一本取り出す。
スケッチブックを膝に置いて壁に寄りかかり、思いついたものを描き出す。
スケッチブックに現れたのは優しく微笑む喫茶店のマスターさん。
あの電気が走ったような感覚は今日一番の衝撃だったよね。あまり人物画は得意じゃないけど似てるかな?
少し離れた場所にスケッチブックを立てかけて見る。
もっと笑顔が輝いていた気がする――
スケッチブックの隣に置いてある全身鏡の中の自分と目が合う。
ノースリーブにショートパンツ。
背が低いので重くならないようにとベリーショートにした髪。凹凸の少ない姿は、少年と言っても差し障りなさそう。
自分の姿に苦笑い。
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