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第43話

「宇野、お前本当に彼女命だな……」



「まあな。自分でも吃驚だわ」




 書類をまとめて整えファイルにしまうと、真一は満面の笑みを同僚に向ける。



 瑠衣と会うために連日残業をしたが、予定よりも早く仕事が片付いたことに同僚も半分呆れていた。




「そこまで頑張られちゃ、後は俺がやっとくから帰れよ。まったくリア充は良いよな~酒はいいから女紹介してくれよ」



「ハハッ。今度、可愛い店員のいる居酒屋連れてってやるよ。それじゃ、お言葉に甘えてお疲れ!」




 真一はコートと鞄を持ってオフィスを後にする。瑠衣と会う前に緊張を静める為にも待ち合わせよりも早い時間に会社を出られたことに感謝した。



 メールを送り瑠衣の会社近くの喫茶店で待ち合わせを変更させた。



 すぐにでも会いたい瑠衣への気持ちがいつも真一を行動的にさせる。




――でも、今日は衝動を抑えて話をじっくりしなきゃな




 ニヤニヤする顔を引き締め電車に乗り瑠衣の会社がある最寄駅に到着すると、軽い足取りで待ち合わせ場所に向かう。



 まだ待ち合わせには早い時間なので瑠衣の会社が見える位置にある喫茶店で時間を潰そうと、考えながら何気なく会社の出入り口を見る。




「あれ? あれって瑠衣じゃないか?!」




 後ろ姿だったが真一は自分の目を疑うことなく、喫茶店を通り過ぎてその後ろ姿を追いかけた。

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