第40話
――明日やっと手に入る。状態も良好。
まな板にのせた肉を乱雑に置くとソファーに座る所々皮の付いた人骨人形に近づき、皮膚のついた手を持ち上げ口づける。
「また美しくなりますよ……」
驚くほど優しい笑顔を向け、そっと口づけた手を膝の上に戻した。
振り返るとまな板の上にあった肉は調理され白い皿の上に湯気を立てていた。
そのまま皿を持って瑠衣のいるもとへ戻り、料理を差し出す。
「どうぞ。明日で最後ですね」
「いただきます。ここへ来るたび自分がどんなに痩せて綺麗になるのか楽しみで仕方ないんです。だからこんなの付けなくても忘れませんよ」
腕に巻かれた黒い革紐を外そうとするとシュトリは手を掴み止める。
「やめろ。それは最後に外すんだ」
シュトリに掴まれた腕がギリギリと痛み瑠衣が「ごめんなさい」と許しを請うと直ぐに手を離す。
会話はそこで終わり、瑠衣は怯えるように料理を急いで食して店を出た。
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