第39話
「あまり煽るな。壊れる」
「分かってるわよ。お楽しみは明日だもの」
シュトリに囁いて答えると、爪を噛み俯いて立ち尽くしている瑠衣に聞こえるよう急に大げさな声を上げた。
「意地悪ねシュトリ! 私には料理を出せないなんて!」
「申し訳ありませんが、お断りします」
すぐにシュトリは小瀬の言葉に乗り会話を続ける。立ち尽くしてた瑠衣が顔を上げ二人の会話を食い入るように見つめる。
「もういいわ。よかったわね太井田さん。私はこれ以上痩せることは出来ないみたい」
残念そうな顔を見せて小瀬は店から帰って行った。それを嬉しそうに薄い笑みを浮かべて瑠衣は見送る。
「もう小瀬さんはあれ以上痩せられないんですね」
「はい。魅力のないものには興味がありません。さぁ、今日も綺麗に肉を削ぎましょう」
瑠衣をカウンターの席に座らせると包丁をかざす。体の痛みに耐えている間に料理を作りにシュトリは一人奥に向かう。
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