第36話
「いっ、痛い……痛い!」
はっきりとした口調で体の痛みを訴え、両手で自分の体を覆い上体を丸める。
意識がはっきりした瑠衣は丸めた上体を、引いていく痛みと共に戻して首を振って周りを確かめる。
そこにオセの姿はもうなく、カウンターでまな板に肉を乗せたシュトリがいるだけだった。
「ただいま料理をお持ちしますね」
「あっ、はい……」
夢でも見ていたような心地で生返事をするとシュトリはニヤリと笑い調理をしに奥へと向かう。
――また変な感じがしたけど……何考えてるんだろう私!
変な顔の火照りを冷ましている間にシュトリが料理を運んでくる。
「召し上がれ。これでオセよりずっと細くなりましたよ」
「小瀬さんよりですか?! 言い過ぎです私なんか……」
「明日、会社に行けば分かります。きっと注目の的ですよ」
真実かどうか全く読み取ることの出来ない笑みを見せられ、瑠衣は曖昧に頷き料理を口に運ぶ。
――これだけ食べても、絶対に痩せるってすごいわ!
明日になれば注目の的。今日の嫌なことを忘れ料理をめいっぱい堪能して帰宅した。
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