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第34話

昼の休憩を終えた後、誰に声を掛けられても虚ろなまま。「痩せたね」と声を掛けられても喜びすらも感じない。




――Derwezeにいかなくちゃ




 頭の中にはもう店に行くことしかなく、終業時間になるとフラフラと会社を出て店に向かった。



 入口の上に座る男はライトの逆光で黒い顔で見ている。その下を欲に支配された瑠衣が通り過ぎ階段を上って行く。



 なんの躊躇いもなく店の扉を開くと今日はシュトリが出迎える。




「お待ちしていましたよ。今日も肉を削ぎましょう」



「小瀬さんよりも細く……綺麗にしてください」



「かしこまりました」




 シュトリは薄い唇を横に伸ばして笑うと瑠衣の背を押して席に座らせる。服の胸元を掴みブラウスの前を一気に引き割いた。



 床にブラウスのボタンが転がるが瑠衣は虚ろなまま微動だにしない。残ったブラジャーも取られ張りのある胸が露わになる。




「傷はついてないな。だいぶ精神にきているのはお前の仕業か? いるんだろオセ!」




 閉まっている店の扉にシュトリが怒鳴ると扉は閉まったまま隣の暗闇からオセが悠然と歩いてきた。




「本当に嫌になるほど細かいわね。ちゃんと見てるから心配ないわよ!」




 呆れた口調でオセが言うとシュトリは瑠衣の胸を丹念に調べながら、わざとらしく驚いた風に見せる。




「邪魔をした挙句に青い顔をして俺の前に死体を差し出して詫びたのは誰だった?」



「あれは……まだ人がどれぐらいで壊れちゃうのか経験不足だったの! 今回はそんなことにならないわよ」

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