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第32話
「おはようございます」
遅刻ぎりぎりで息を弾ませてオフィスに駆けこんできた瑠衣に、同僚たちの視線が集まる。
いつもと変わらぬ服装なのだがやけに胸だけが目立つスタイルに驚き、同僚の一人が瑠衣に声を掛けた。
「太井田さんどうしたんですか?」
「あぁ、服選びに時間取られちゃってさ」
時間ぎりぎりのことを聞かれたのだと答える瑠衣に、苦笑いを零し勤務時間を気にしてかそれ以上は聞かない。
――間に合ってよかった。まさか服のサイズが変わるほどとは思わなかった
コーディネートがどうのと言う理由ではなくサイズの問題で着られる服を探して時間を取られたのだ。
鏡を見て全体的に細くなっている姿に改めてDerwezeの凄さに感謝した。
真一とのことで沈んでいた気分も軽くなり、別れが待っているかもしれないと言うのに会うのが楽しみで仕方ない。
いつもより仕事に集中できて気分がいい。先ほどの同僚に声を掛けられて昼休憩の時間だと気付く。
「太井田さん本当にどうしちゃったんですか? なんか仕事無理してます?」
「なんで? 調子がいいくらいだよ」
「急に痩せた気がするし……」
「ちょっとダイエット初めてさ……変わったの分かった?」
「そんなにすぐ痩せるダイエットなんてあるんですか?! 教えてほしい!」
細くなった瑠衣の体を熱心に見る同僚の目は羨望のまなざしに見えて、瑠衣の心は歓喜に湧く。
だが、Derwezeのことは他言無用。それに自分以外の人間が細く美しなったら、この羨望の眼差しは直ぐにきえてしまいそうだ。
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