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第30話
会社の喫煙ルームで残業前の休憩を取っていた真一は煙草を咥えジャケットのポケットから携帯電話を取り出す。
昨日の夜に送ったメールの返信を確かめているとタイミングよく新着メールが届く。
「あっ、瑠衣からだ」
咥えていた煙草を忘れて口を開き、落ちそうになる煙草を慌てて支える。
――やばい。すげー緊張する
喧嘩してすぐに返信が無いことに、もう会ってもらえない可能性が高いと思っていた。
今日一日待っても来なかったら、直接会いに行こうとも考えていた矢先の返信に喜ばずにいられない。
『なんとか時間がとれそうです 瑠衣』
メールの文面から三日後が誕生日なのを瑠衣自身、忘れている気がして真一は笑みをこぼす。
――瑠衣は真面目で仕事熱心だからな
新しく仕事を任されて大変だと愚痴をこぼしていたが、喜んでいたことも真一は知っている。
すぐさまにやけた顔で返信をして携帯電話をポケットにしまう。
「俺も、頑張って仕事片付けますか!」
「なんだよ宇野、メールにそんないいこと書いてあったのか?」
喫煙所にいた同僚が真一の言葉に反応して聞いてくるので、煙草の煙を吐き出しながら笑顔を見せる。
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