第24話

その姿を先ほど出て行ったはずの小瀬が更衣室から見送って携帯電話を片手に連絡をする。




「もしもしシュトリ? 予定変更なんだけど……」



『理由は?』




 予想通りの不機嫌な声にオセはクスクスと笑いを漏らすが、電話口からシュトリの咳払いが聞こえ答える。




「えっと、理由? あぁ~聞いてない」



『……無能。用事もなく連絡してくるな』



「ま、待って! たぶん彼氏がらみの理由だと思う」



『お前が絡んでいるんじゃないだろうな? それなら応じるつもりはない』




 冷たく言い切ると通話がブツリと切れ、オセは唇を尖らせて携帯電話を握りつぶす。




「毎回、店に客を連れってやってるのに! 少しぐらい融通きかせろってのよ!」




 怒りに口からは牙が伸び瞳は金色に変わりオセの顔は恐ろしい形相に変っていた。



 グルグルと喉をなして怒りに震えていると更衣室の扉が開く音が聞こえ、オセはロッカーの影に鼻息荒く入りこんで姿を消した。

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