第11話

「教えてもらった店を探してみるか……」




 シャワーを浴び着替えを済ませた真一は居酒屋の女店員に聞いたアクセサリーショップを探しに家を出た。



 入り組んだ場所にあると聞いていたので携帯電話の地図機能を頼りに向かう。



 店がある場所は瑠衣が勤める会社近く。夕方から仕事だと言っていたので偶然会えるかもしれないと期待を寄せる。




――会えたら少し早いけど誕生日プレゼントを渡して謝ろう。




 薄々感じている瑠衣とのぎくしゃくとした関係。今回の喧嘩をきっかけに終わっても不思議ではない。




「まずは話を聞いてもらえるようにご機嫌取りしないとな」




 地図を見ながらレンガ道から細い路地に入ると、さびれた臭いにテナント募集などと看板を掲げた空の目立つビルが立ち並ぶ場所に迷い込んでいた。




「この近くのはずなんだけどな……こんなところに店なんかあるのかよ」




 なぜか携帯の電波が悪くGPSすら役に立たない。道を聞こうにも人影すらないのだ。



 弱り果てた真一は仕方なく来た道を戻り、細い路地から大通りに出る。



 人混みは苦手だが誰もいない路地というのも不気味で人の往来にホッと息を吐いていると人がぶつかって来た。




「ごめんなさい!」



「痛っ! 気を付け……あれ、君は居酒屋の……」




 ぶつかった相手に文句を言おうと顔を見れば、居酒屋で店を教えてもらった女店員が心配そうに謝っている。



 女店員も真一を覚えていたようで、目を丸くして「昨日の……」とわずかに顔が緩んだ。

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