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第9話

見る者によって輝くばかりの美女や美男に見える黒き者は人影のない階段で電話をしていた。




「もしもしシュトリ? いま客を捕まえたから今日そっちに行くよ」



『また勝手に……好みがあると言って……』



「どっかしら気に入るって! それじゃ後で顔出すから」



『待てオセ! 貴様……』




 携帯電話から聞こえる怒鳴り声をブツリと切りオセは喉をゴロゴロと鳴らし上機嫌で階段の中段から跳ねて煙のように姿を消す。




「次はあっちの準備をしないとね」




 誰もいない階段に高らかに笑う声だけが残された。

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