第7話

「雪絵! あと少しだよ、頑張って!!」





 運動が苦手な雪絵はクラスで最後のゴール。





「つ、疲れた……もう走れない」





 遅くても最後まで頑張った雪絵を見ると、素直に凄いと思えた。



 雪絵は息を落ち着かせると、思い出したように私のジャージを掴んで懇願する。





「返すとき、私も一緒に行きたい」



「私もジャージを返す時、雪絵に一緒に来てもらえると助かるよ」





 私が笑顔で頷くとグッタリしていたはずの雪絵は飛び上がって喜んだ。



 隣のクラスなんて覗いた事もないので、雪絵が一緒に行ってくれるのは心強い。





「小陽ちゃん! 早く着替えて行こうよ!」





 走り終わった順に着替えて良いと言われていたので、グラウンドには私と雪絵、それに体育教師の三人の姿しかない。





「これ、記録用紙です」



「はい、ご苦労さま」





 私が書き終えた記録用紙を体育教師に手渡すのを見ると、もう走れないと言っていた雪絵が私の腕を掴んで更衣室に走りだした。

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