第6話
少し離れた場所で数人の女子達が睨んでいた。
私を良く思っていない事は学校に通いだしてすぐに感じていた。
もしかしたらあの子達がジャージを隠したのかもしれないが気にしないフリをする。
「はい、集合! 今日は走ります。マラソン!」
体育教師の呼びかけに、みんなが集合しながら盛大な文句を言う。
そんな中、体育教師が私を呼びつける。
「山木さんは記録係りをお願いするわね」
いつ死んでもおかしくない重病だった私が突然、元気になって学校に戻ってきても、みんなと一緒の『普通』に見てもらうのは難しいことだった。
体育の授業も最初は大丈夫だと訴えた。
だけど体力が落ちていて、ちょっとした運動にも息が上がってしまう。
青い顔をした私を見ては一緒に青い顔をして体育教師が保健室に私を連れて行くのだ。体育教師も毎回それでは気が気じゃないだろう。
仕方がないので、授業は見学。これが特別扱いを受けていると、気に入らないのだろう。
自分でもそう思うしね。
「それじゃ、始めますよ」
「小陽ちゃん。私、凄く遅いと思うんだけど頑張るから待っててくれる?」
「もちろん! 最後でもちゃんと待ってるよ」
雪絵は笑顔を見せて、私に手を振って走り出した。
――現状で仕方がないこと
私はそれを少しずつ打破していかなければならない。
ちょっとした嫌がらせにくよくよなんてしていられない。 前向きに考えなきゃ。
ジャージを隠されたけど、村田君という男子に親切にしてもらったからプラスマイナスゼロ。
雪絵の好きな男子のタイプもわかったからプラス1かな?
私は空を見上げて笑顔を作った。
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