特別
第5話
なんとか体育教師が来る前に間に合うことが出来た。
少し大きめなジャージ。持ち主の村田君は男子にしては小柄で目がパッチリとしていて可愛らしい印象だった。
人の姿になった烏よりも背が低そうだから、鳥で表すと鳩? その鳩より小さい私は雀かな?
そんなことを考えながら一人でニヤついていると、クラスで仲良くなった雪絵が不思議そうに声を掛けてきた。
「遅かったけど大丈夫? それに、そのジャージ小陽ちゃんのじゃないみたいだけど……」
「ちょっと汚れちゃって、B組の村田君って子が貸してくれたの」
名前を聞いた雪絵は掛けている眼鏡を上げ直し、目を輝かせて私を見る。
普段は控えめでおとなしい雪絵が、やけに興奮している気がするのは気のせいだろうか。
「それって、村田 大志君? 彼、可愛いよね!!」
私の着ているジャージを掴む手から浮き浮きしているのが伝わる。
雪絵とはまだ恋愛系の話はした事がない。変な子だと思われるのは容易に予想出来る。烏と婚約していますとは口が裂けても言えない。
だから、雪絵が可愛い系男子がタイプなのを今更に知って驚いていた。
「ねえ、小陽ちゃんは村田君のことどう思う?」
「可愛い? 鳩みたいな子かな」
雪絵は目を丸くして「なにそれ」と笑った。私も一緒に笑っていると嫌な視線を背後に感じる。
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