第2話

「なんでも、誰かの誕生を祝う日なんだと。それにかこつけて騒ごうってものさ」



「お祭りってことか? 楽しそうだな」





 お祭りって美味しいものが沢山あってワクワクするんだよな。





「それと、いい子のもとにはサンタって奴が贈り物を置いていくらしいよ」



「さんた? 俺や小陽の所にも来るのか?」





 右京の話は知らないことばかりで興味が尽きない。



 人の世界には俺の知らないことが沢山あって面白いな。



 それにしても右京って本当になんでも知ってる。





「フフッ、どうだろうね。サンタって奴は気まぐれみたいだから小陽ちゃんの所はどうかねえ」



「小陽はいい子だぞ! 贈り物もらえるだろ」




 俺はもらえなくても小陽には贈り物を届けて欲しい。



 それで小陽が笑顔になるのなら。




「それなら、烏が贈り物をすればいいだろ?」



「俺が? 小陽に贈り物を?」





 いいかもしれない。さんたって奴が小陽のもとに贈り物を置いていかなくても悲しまないもんな。



 でも何を贈ったら喜ぶだろう――



 自分の宝物を頭に浮かべて考えてみるが一度失敗してるしな。





「なぁ、右京。人の女って何をもらったら喜ぶんだ?」





 右京は俺を見て楽しそうに笑うと酒の入った杯を置いて立ち上がった。





「烏はやっぱり単純だね。ほら、買い物に行くよ」





 言葉にださなくても右京には全てお見通しのようだ。

 



 まだまだ敵わない。




 右京は考え込んでいる俺を抱き上げて意地悪く笑う。





「全く赤ん坊じゃないんだから」



「お、俺は一人で飛べるぞ!」





 両羽をしっかりと押さえられ、もがく俺の姿を見て右京は高らかに笑う。



 俺をそのまま小脇に抱えると、大きな黒い翼を広げ天狗の山を飛び立った。

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