第65話
小陽の様子が気味悪く感じて虚ろに話す小陽に呼びかけるが、俺の声は届いていないようで薄っすらと笑みを浮かべて話し続ける。
「考えられなかったよ……カラスさんが烏天狗になって一緒にご飯を食べに行くのも無理そうなんだもの……だって私それまで、生きていられないかも……」
ひゅうひゅうと変な息をして苦しそうに胸を押さえ苦笑いを浮かべて俺を見つめる小陽の姿に胸が締め付けられる。
――俺はなんて残酷なことをしたんだろう。
俺は小陽の病が治るのを知っていて浮かれていたけれど、小陽はそれを知らせずに夢を考えろなどと。
病気になり健全な者よりは短いであろう死期を悟らせるようなことをさせていたのだ。
右京が呟いた言葉はこういうことだったのかと、俯き申し訳ない気分に打ちひしがれるが、小陽は苦しそうに虚ろに言葉を続けた。
「でもね……お嫁さんは無理でも、プロポーズしてくれるような素敵な……出会えたら……いい……」
「小陽もう喋らず横になれ! お前の病は……」
苦しそうに話す小陽に病は治るのだと告げる途中で小陽は腰掛けていたベッドにそのまま横倒れてしまった。
俺は慌てて小陽のそばに飛んで行き、病を吸い取ったが小陽の様子は変わらず苦しそうに胸を押さえて変な呼吸をしている。
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