七羽

三日目

第63話

朝日が天狗の山を照らし出し俺の体もポカポカと温まってくる。


 目が覚めて翼を広げ全身に太陽の光を浴びると、杉の木の下で眠っている右京の元に向う。


 今日も行灯の火がはいったままで、だいぶ深酒をしたのか空き瓶が何本も転がりゴザの上でだらしなく眠っている。


 行灯の火を消しながら気持ちよさそうに眠る右京を睨み溜息を吐く。


 今日は小陽から最後の病を吸い取ったら急いで戻ってきて、薬を造ってもらう予定だ。だが、こんなに酒を飲んで二日酔いで薬を造ることが出来るんだろうかと不安になってくる。



「おはよう右京! おい、大丈夫か?」



 右京の腹の上に乗っかってぴょんぴょん跳ねながら声を掛けると、くぐもった声で煩いと呟き俺を手で追い払う。



「危ないな! おい、起きろってば。今日は薬を造ってくれる約束だろう? 天狗草、摘んどいてくれよ」


「うるさい奴だね……起きたら行くよ……」


「俺が帰ってくるまでにだぞ!」



 俺を追い払おうとする右京の手を避けて耳元でわざと大きな声で叫んでやると、ムクリと右京が起き上がり俺の体を掴むと、そのまま空に放り投げられた。

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