第54話
「小陽、顔を近づけてくれ」
――きた! なんだか分からないまま凄く恥ずかしくなったやつ。
顔を近づける前になんの意味があるのかを今日は訊かねばと、顔を近づける前に口を開く。
「この前みたいに頬に嘴を当てるんだよね?」
「そうだぞ嫌なのか?」
「嫌ではないんだけど、それって烏的な挨拶とかなのかな? なんかキスされたみたいであの……」
しどろもどろになりながら、烏相手に話すことじゃない気がして段々と恥ずかしくなってきて最後は尻すぼみに言葉が消えていく。
烏は不思議そうに小首を傾げて私を見てモジモジとしながら嘴を開き私に尋ねる。
「烏的な挨拶は鳴けば済む。それより、きす? 何だそれ?」
意味が分からないことを恥ずかしそうに訊かれるが、私は自分の勘違いが恥ずかしくてとても烏にキスの意味を教えられない。
「そっか……違うならいいの! 別にその……」
「小陽がいいならいいけど」
私はこくこくと頷き、烏にまだ熱い顔を近づけるとまた同じように頬に嘴を当てられ少しするとスッと離れていく。
キスではないことが分かってもなんか恥ずかしいし、結局これが意味することも烏は話してくれない
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