第47話
「小陽の母親は小陽の気持ちが分かってるのに、煩く意地悪なこと我慢できなくてを言うんだ。それを小陽に話したら優しい意地悪だから自分だけ我慢するって言うんだ。なんで我慢を続けるんだ?」
ストレスとやらが原因だとしても小陽だけが我慢するのはやっぱり違う気がしてモヤモヤとしている気持ちを右京に話す。
右京はいつの間にか酒の準備をはじめていて、いつものように酒を飲みながら答える。
「素直と言うべきか無知と言うべきか……難しいねぇ」
「なんだよそれ、俺のことを言ってるのかよ」
俺の様子を見ながら横たわって肘枕をして楽しそうに酒を飲み、何ごとか考えてから口を開く。
「小陽ちゃんが我慢するのも優しさだろうよ。病で伏せっている自分の面倒を見てくれている母親を気遣う思いと無意識の恐怖ゆえじゃないかい」
「意地悪するのに気遣う? 母親は元気なんだから我慢するればいい……怖がってるならなおのこと小陽がかわいそうだ」
「分からない奴だね……母親の意地悪ってのも容態を思って注意してることだろう? 小陽ちゃんはそれを分かっているから優しい意地悪って言ったんだろうよ。それに恐怖は小陽ちゃんの本能が感じてることだよ」
あまり理解も納得もできずに首を傾げる俺を右京も困った様子で見ながら酒臭い溜息を吐く。
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