第45話

右京が分かったよと溜息混じりに返事をして俺の体に手をかざすと、黒い煙が体から吹き出して、燃やされているのかと不安になり慌てて背中を見る。



「そんな不安な顔しなくても、烏を燃やすわけ無いだろう。ほら、これが病だよ」



 手の平の上に浮かぶ黒い塊を見せると、黒い薬壺にその塊を投げ入れて蓋をした。


――あれが小陽を苦しめている病か。


 重かった体が嘘のように軽くなり、多少の疲労感は残っているものの先程の比ではない。



「一日目ご苦労さん。明日はゆっくり休みなよ」


「もう明日、行く約束してきた……」


「呆れた! まったく考えなしの奴だねぇ。途中で野垂れ死んでも拾いになんて行ってやらないよ」



 呆れ顔で右京に怒られるが、俺だってちょっと連日は無理かもしれないと今更に思っている。


 格好つけたかったのもあるが小陽を見ていたらちょっとぐらい無理してもいいんじゃないかと思えたんだ。


 ゆっくりと立ち上がった俺の足に着いたアクセサリーを右京が見つけて、訝しげに尋ねる。



「お前、足輪なんて付けられてペットにでもなったのかい?」


「なに言ってんだよペットになんかなるかよ! これはアクセサリーって言うんだぞ」



 きっと右京はアクセサリーなんて言葉を知らないんだと、得意になってアクセサリーを着けた足を見せて説明してやった。

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