一日目の終わり
第44話
体が異常に重くこんなにも病を吸い取って運ぶのが大変なことだとは思ってなかった。
俺の体に安全な量の病しか吸い出していないはずだが、何度か飛んでいる高度が落ちて電線に足をぶつけ危ない目にあった。
――病はいいが事故で死にそうだ。
何度も木陰で休んで、やっと天狗の山に着いた頃には真っ暗な空に、月が煌々と輝き空の色に混じってしまいそうな俺を浮き上がらせる。
寝床のある杉の木の下にある行灯の光をめがけて高度を下げていく。
「お帰り。遅かったね」
「持ってきたぞ小陽の病。どうやって壺に移すんだ?」
なんとか右京の前に着地したが、立っているのもままならず翼を広げたまま嘴を地面に付けて伸びた。
「フフッ、思っていたより大変だろう? もう辞めたらどうだい?」
「これ、本当に安全な量なのかよ……」
「そのはずだけど」
もうからかわれてやる元気もなくて溜息を吐く。
「もういい……早く病を壺に移す方法を教えろよ」
頭上でカラカラと笑いながら話す右京に怒りを覚えるが、体を起こして虚勢を張ることも出来ず伸びきった翼をなんとか動かして地面を叩く。
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