五羽
高鳴る心臓
第41話
母親が私に隠している一面を烏に聞いて嬉しい思いと、やっぱり迷惑をかけていることに心が揺れる。
――生きていて良いのか?
いつも頭を過るが隣で落ち込んでいる烏の姿を見て頭を振って嫌な考えを追い出す。
私の代わりに心配して怒ってくれた烏の気持ちを真っ直ぐにぶつけて我侭も言っていいし泣いても良いんだと言ってもらえて、自分に自信を取り戻せた気がしたのだ。
俯いている烏にもう一度、心からの笑顔を向けてお礼を伝え机の上に並ぶアクセサリーの一つを手にとって見せる。
「これ、イヤーカフスって耳に着けるんだけどカラスさんの足に丁度良さそうじゃない?」
王冠の形をした銀色のイヤーカフスを烏に見せると、やっと顔を上げて手元に近付いて観察しはじめる。
――よかった機嫌なおったみたいで。
ホッとしていると烏はイヤーカフスを嘴で啄いて角度を変えて見ながら声を上げる。
「変な形……おっ、光る石が付いてる! 足に着けるのか?」
身につけるには一番良さそうだけど、アクセサリーなんて嫌がるかと思っていたが烏は興味津々でイヤーカフスを嘴で挟むと、器用に自分の足にはめる。
「ぴったりだ!」
着け心地を確かめるように机の上をぴょんぴょんと跳ねて、嬉しそうな様子につられて顔がほころぶ。
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