第39話

「言葉じゃわからないよね。こうやって身につけて使うものだよ」


「へぇ、アクセサリーって着飾るものなのか……この輪っかはどこに

着けるんだ?」



 小陽が自分の体でどう身に着けるのか説明している途中で、俺の足下にあった花が付いた輪っかに目が留まり嘴でつまんで小陽に尋ねる。


ゆっくりと差し出された手にそっと輪っかを乗せると小陽は手の指に着けて見せ、遠くを見るような眼差しでゆっくりと口を開く。



「これは指輪って言うの。付ける指によって意味があってね……左手の薬指に付ける指輪は特別なんだよ」


「特別? 力が強くなるとか?」


「フフッ、違うよ。好きな相手からの愛を表すものなんだって」



 うっとりと指に嵌めた指輪を眺めて話す小陽を見て、何かが胸に刺さったような痛みを感じる。


 小陽の指に嵌った指輪もなんだか妙に気に入らないし憎らしいような気がして自分でも思いもよらない事を訊いてしまう。



「その指輪、好きな奴から貰ったのか?」


「まさか! そんな相手いない……願望はあるけど、家と病院じゃ出会いなんてないし……出会えたとしても病気の私には縁がないかな」



 俺の質問に寂しそうに答えて指輪を外す小陽になぜだか満足する自分と、不甲斐なさに落ち込む自分がいて胸がモヤモヤとしてくる。

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