第29話
「勿体無いと思うよ、修行もあと少しなのに……烏天狗になれば、人の言葉を話すなんて簡単なことだよ?」
「あと少しって、どのくらい? 明日? 明後日?」
「そうさね……三ヶ月ってところかね。烏は分かっていないようだけど修行というのは日々、師匠の体から漏れる気を烏の体になじませ溜めることが目的なんだよ。そのかわりに修行と称してそばに仕えるのが弟子なのさ。まぁ、うちの弟子は師匠を使ってばかりいるけどねぇ」
なんだか雲行きが怪しくなってきた右京の話しに、ぴょんぴょんと跳ね回っていた足を止める。
――この流れは長い説教されそうだな
空気を読み取ってすぐさま嘴を地面に付けて頭を下げる。
「ご、ゴメンナサイ。これからはもっと修行がんばります。だから……」
「まったく……嘘でももう少し心を込められないのかねぇ。願いを叶える条件は烏の体に馴染んで溜まった気を使うことになる。人間の小娘一人のために烏天狗になるのを諦めるんだな?」
「諦めない! さっきと言ってること変わってるぞ!」
右京は慌てる俺を見てカラカラと笑って頭を撫でる
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