烏天狗になる条件
第28話
今日は小陽が病院から戻ってくる日だ。
俺は朝から右京の周りをぴょんぴょんと、しつこいくらいに跳ねながらお願いをする。
「師匠、お願いします!」
「う~ん俺は良いよ。けどさ、もうちょっと考えてみた方がいいんじゃないの?」
「だってあんなの小陽が、かわいそうだ!」
昨日の朝から移動した様子もなく寝転んで酒を飲む右京に頭を下げるが、渋ってばかりで全然頷いてくれない。
「なにが、かわいそうだか知らないけど考え直したら?」
「俺が伝えてやらなかったら誰が伝えるんだよ!」
小陽は涙も見せずに我慢して病気とも戦っているのに我慢もせずに意地悪なことを言ってグズグズと泣いていた小陽の母親に、
どうにも腹が立って仕方がなかった。
興奮したように話す俺に右京は溜息を吐いて頭を困ったように掻く。
右京が渋っているのは、願いを叶えることによって俺が烏天狗になるのが大幅に遅れてしまうかもしれないと言うことらしい。
烏天狗になるには
一つ、生まれながらに烏であること。
二つ、師となる烏天狗を見つけ、その下で修行を積むこと。
とされている。
俺が聞いたのはこの二つなので特に烏天狗になるのに遅れを生じるような問題はないと思っているのだがどうやら少し違うようだ。
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