三羽
伝言
第25話
朝日が昇り杉の木にある寝床で翼を広げて伸びをし、木の下で伸びている右京のもとに飛んで行く。
行灯にはまだ火が入ったままになっていたので、行灯の枠を取り翼で風を送って火を消してやった。
「おはよう右京」
「もう行くの? 朝っぱらからご苦労なことだねぇ。まだ病院にいるんじゃないかい?」
右京が大欠をしながら着物の胸元から手を突っ込んでボリボリと体を掻きながら起き上がると呆れた顔で俺を見る。
小陽が倒れた日から病院と家を行ったり来たりしているがまだ姿を見ていない。
見に行かなければ、烏の俺に小陽の容態を知るすべはなく、兎にも角にも気になってここでじっとしている事などできないのだ。
「まぁ、小陽ちゃんに会えないことには何もはじめられないしねぇ」
「いま出来ることをする。だから行ってくる」
「フフッ、そうかい……気をつけて行っておいで」
右京に見送られ天狗の山から真っ直ぐに小陽の家に向かい、ベランダの手摺に留まると小陽を驚かしてしまった蜥蜴が干からびて落ちたままになっているのを見つけた。
干からびた蜥蜴をくわえてベランダの手摺から庭に落として片付けた後に部屋の中を窺おうとするが、今日も布で目隠しされていて中の様子は分からない。
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