第23話

それにしても今思い出しても烏の贈り物には死ぬほど驚いた。


 危うく本当に死んでいたかもしれないと思うとあまりにシュールで笑ってしまう。

 

 思い出し笑いをしていると、母親が金切り声を上げて怒り出す。



「小陽、聞いてるの!? 笑ってる場合じゃないのよ。あなた、また発作を起こしたんだから! 分かってるの……」



 大きな発作が起きたら死ぬかもしれないと言われているので、母親の怒る気持ちは理解できるのだが、私だって発作を起こして倒れたかったわけじゃない。


 心配させたから文句は言わないけれど、ほんの少しだけでも私の気持ちも分かって欲しい。


 心のなかで溜息を吐いてこっそりと伝わるように願い笑顔をつくり母親に話す。



「聞いてるよ。おとなしく入院するから、部屋のベランダにコハルって喋る頭のいい烏が来たら、私が病院にいることを伝えて。あと、大丈夫だから気にしないでって」


「烏? 言ったところで分からないでしょう? あなたまさか、烏に触ったり……」


「なんでもいいから伝えて!!」



 母親がまた目を釣り上げて烏についてなにか文句を言おうとするのを遮るようにお願いする。

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