第21話

「そこまでの思いがあるなら協力してやろう」


「今度こそ本当の本当か?」



 騙されたばかりの俺は疑り深く右京に尋ねると、ザバッと飲んでいた酒を頭から掛けられた。



「冷たっ! なにすんだよ」



 文句を言って酒に濡れた羽を震わせて飛ばしていると右京が俺の嘴をピンッと指で弾き、俺は尻餅をつく。



「烏は嫌になるほど素直だねぇ。師匠のありがたい協力を疑うんじゃないよ」



 すでに酒に酔っているのか、座った目で俺に文句を返すがされたばかりの悪戯を考えたら疑うのは当然だろう。


――酒ばっかり飲んで明日には忘れてるなんてことないだろうな


 酒臭くなった翼に顔を顰めて、今度は右京から離れて窺い見る。


 どこから出したのか新しい酒瓶の蓋を開けて何が楽しいのか、カラカラと笑って酒を飲んでいる。



「本当に大丈夫か?」



 悪戯を疑うよりも右京を見ていると能力自体が怪しく見えてきて、こっそりと溜息を吐いて羽に付いた酒を洗い流そうと静かに飛び立った。

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