第20話
啄いて文句の一つでも言ってやろうと思ったが、右京が眉尻を下げて素直に謝るので我慢する。
「そんなに悪い病だったのかい……それは悪いことをした。ごめんよ」
謝られても小陽には伝わらないし、そもそも右京の悪戯を見抜けなかった俺のせいだ。
嘴をさらに落とし落ち込む俺に、右京が俺の顔を覗き込んで真面目な面持ちで尋ねてくる。
「ねえ烏。その小陽ちゃんに嫌われていたとして……まだ言葉を交わして病を治してあげたいと思うかい?」
右京はまるで俺を試しているかのようにクスクスと笑って訊く。
今度こそ騙されないように右京の顔を穴が空くほどじっくりと見てその真意を探るが、修行不足の俺にはさっぱり右京の真意など分からない。
仕方がないので質問された答えを自分の中でじっくりと考えてみる。
あんな風に驚かせるのは俺の本意ではなかったが、それで嫌われてしまったなら仕方がない。
けれど嫌われていても謝りたいし、叶うことならもう一度あのキラキラと輝く笑顔を見たい。
それに右京の悪戯に巻き込む結果になったままにしておくなど、烏がすたるというものだ。
「俺の気持ちは……小陽に謝って、病を治して小陽の笑顔をみたい」
力強く頷いて答えると右京はニッと口の端を上げて不気味な笑顔を見せ、酒の入った杯を煽る。
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