第17話

「キャァァァ!!!」



 手摺から両手と悲鳴を上げて飛び退いた私に烏も驚いていたが、それを気にする余裕などない。


 手摺を握る手元に置いてあったのは、庭で捕まえたとれたての蜥蜴の死体。


――蜥蜴? なんで?


 驚きとわけの分からない贈り物に頭が混乱して心臓もバクバクと早くなっていく。



「コホッゴホッ……ゴホッ」



 驚きのあまり咳き込み、ご飯のおすそ分けやら烏が蜥蜴を食べたかなどとグルグルと自分でもわけが分からない考えが頭をめぐっていた。


 だがいつもの厄介な咳が私の息を段々と苦しくさせてきて考えが消されていく。



「ゴホッゴホッ……」



 これは考えなくても良く知っている発作だ。


 息苦しさに胸を押さえてその場にうずくまると段々と意識が薄くなり視界が霞む。



『コハル?! コハル!!』



 すぐ目の前で烏が私の名前を心配そうに呼んでいて、なんとか大丈夫だと言葉を紡ごうと口を開く。



「カ、カラス……さん……」



 伝えたかった言葉は言えないまま私の意識は暗くなってしまった。

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